「辞める」のではない、「変える」のだ!

自分が変わるべき時を見逃すな!そいつは必ずやってくる!
物価高関連倒産・人手不足関連倒産が、いよいよ推測ではなく明確な数値として示されるようになってきた。
とりわけ運送業界はここ最近の2024年問題騒動の盛り上がりもあって、識者やマスコミ、一般人にも関心度が高く、また当の本人でもある運送事業者やトラックドライバーもさすがに事業を続けることに危機感を募らせている。
そりゃそうだ。求人しても人は来ず、退職者は増える一方。残った者は50代60代ばかりとなれば、ヤバいと思わない方がどうかしてる。
東京商工リサーチによると、今年の上半期における道路貨物運送業の倒産件数は136件で、前年同期(114件)の19.2%増。
コロナの影響がほぼ薄れているのにこの数字はなかなか厳しい。
倒産の原因については、円安等による物価高関連倒産が46件(前年同期29件)と58.6%増と急増。
人手不足関連倒産も20件(前年同期13件)で53.8%も増えている。
安請け合いするイメージが強い運送業界だから驚かないが、前年より1.5~1.6倍の倒産増加率で考えると他の産業に置き換えたらとんでもない傾向となる。
加えて燃料費高騰については上期より下期(7月~)になって騒がれ始めていることを考えると、関連倒産件数は今後更に増えていくことは間違いないでしょう。
タイヤやオイルだって高くなっているし、車両のメンテ費や事務所の水道光熱費も高騰していく。
安くなるのは労働時間規制で残業代が減るドライバーの人件費ぐらいか(本末転倒)。
しかもドライバーの残業代削っても、肝心の売上を減らさざるを得なくなる(人手不足で運べないので受注もできない)から利益も出せず、事業を継続できなくなる会社は増えて当然。

少子高齢化の理由以上に人が集まらず辞めていく原因は何?
2024年問題の根本的な部分である運送業界の「安い賃金」。
12~13万円レベルという、一般企業の高卒初任給以下というおかしな基本給と手当だらけで総収入を調整する制度が蔓延って、トラックドライバーは残業しないと食っていけない。
だが賞与も年金もこの異常に安い基本給がベースとなることを知らないトラックドライバーが多すぎる。
例えばいくら月収30万円以上あるドライバーだったとしても、賞与年間2ヵ月とあっても実際は基本給×2ヵ月分。
入社の時に勘違いしそうな部分だが60万円ではない。年間でたったの24万円となる。
まあ賞与が支給されるだけマシというもの。月収×〇ヵ月の賞与で騙されて入社する者がなんと多いことか。
これが他の業界ではおおよそ月収×〇ヵ月。
同じ30万円の月収・賞与2ヵ月であったとしても、運送業は年間24万円、一般企業なら60万円の違い。
そして賞与だけではない。年金だって計算ベースが大きく変わるので同じ就業年数でも貰える年金は大きな差になる。
運送業の求人の見た目の月収の裏の仕組みを知れば、長く働くほど実質の収入が少なくなるということに気付く。

どう考えたって割に合わない。他の職も考えてみなきゃ!
そして業界の闇・膿が一気に暴露される2024年問題。
これだけヤバい部分が晒されても、応募する者もいれば劣悪な環境にとどまる者もいる。
ドライバーという働き方に魅力を感じるなら、将来性や収入を度外視してやればよい。
ただし泣き言は一切禁止ということで。
実際私が15年前に軽貨物を始めた時も、軽貨物運送業に対する世間の評判は恐ろしく悪かった(車を買わされる・仕事は紹介されない等)。
当時はガソリン代も170円を軽く超えていて、今と同じようにガソリン価格が社会問題となっていた(最近よく比較対象として持ち出される過去最高値がその頃です)。
周囲には「何で会社員辞めてこんな仕事するの?」と訝られましたけど、ネット通販が急速に伸びていく黎明期でもあり先行きに期待があったからやった。
まあ結果オーライだったから15年続いたんですけどね。
当時は「安定」に見られていた会社員という働き方を辞め、自営業・フリーランスになるというのはギャンブルですわな。
でもリスクを取らないと得られるものも得ることができない。
おかげで私は「時間」を得ることができました。

もう詰んだな、この仕事。従業員には悪いが廃業にすっぺ!
過去を引きずることに無頓着で、現状を辞めることを恐れて動かないことが正解なのだろうか?
新しいことをしない、自分の守備範囲に徹底すれば大ケガをしないのは昔の話。
周囲の環境が平穏で豊かだった時代と同じにはできない。
今の運送業界を見ていると当事者ほど危機意識が低いように見える。自分の立ち位置を俯瞰できないから?
大きなお世話なのでしょうけれど、第三者から見ないと気付かないこともある。
2024年問題という、ドライバーから見れば「働けない・稼げない」という明確な将来像が見えており、企業だって「人がいない・運べない・請けれない」という最大の課題を解消する手段が無い。
更に物価上昇・燃料費高騰という自力で解決できない経営上の大問題も抱えている。
これはいくら運賃を上げてもらっても収支が追い付かない。
走れば走るほど赤字というのも大袈裟な表現ではない。
今の状況から当事者は「将来の自分をどうするか?」を真剣に考えているだろうか?
自分の船が沈み出しているのに「これまでと同じ」価値観を変えようとしない。
今までこれでやってきたから、これからも同じことをしていくの?

皆と同じじゃ見分けがつかない。自分の特徴をどう見せる?
今の仕事を「辞めない」という決断はそれはそれで素晴らしい。自分で決めたことだから。
ただ、「辞める」ということに「逃げる」「負け犬」的な後ろめたさを持って躊躇うことは無い。
「辞める」のではなく「変わる」ということを胸張っていればよい。
「LIFE SHIFT」「WORK SHIFT」の考え方で、その時その時の自分に合った生き方・働き方は変わるのが当たり前と思えばよい。
私もフリーランス的な軽貨物の働き方を続けていながら第一線から退き、また会社員のような働き方に変わる。
この変化・転職は決して本望ではないが受け入れている。
体力的な問題や社会情勢(燃料費高騰・インボイス)を加味した上で、自分の「LIFE SHIFT」「WORK SHIFT」に合致するのだと信じて転職を決断しました。
ただ選択したのがこれまた運送業と同様に人手不足と低賃金で敬遠されている介護職なので、15年前と同様に「なぜ?」と周囲からは思われている。
63歳の爺さんが採用される求人って探してみればわかるけど、皆さんが思い浮かべる仕事ばかり。
私は体力的に問題が無ければ軽貨物で65歳でも70歳でも続けて行こうとは思っていたさ。
でもそれが難しいと悟った以上、「辞めない」のではなく「変わる」選択をした。

女性の多い仕事に60代の軽ドライバーが採用されるヒントとは?
9月1日より会社員的環境にて社畜再デビューする。
次回からは介護職がブログの中心になるかもしれませんが、軽貨物の仕事は副業として継続するし、実は介護の仕事の中でもドライバーとして活躍できる部分があるのです。
これは面接の時に打診され、喜んで「出来ます!」と言ったことがお互いのメリットとして採用に繋がった部分だと思っている。
女性が多い環境ならではの一つの武器になったということ。
軽貨物の経験は思わぬところでも活かせるのですよ。またの機会に紹介しますけど。
次回からは配信も不定期になると思いますので予めご了承ください。
何せ介護職は週5の稼働で残りの2日に軽貨物するのでたぶん1年間完全休養日は無しです。
ここ数年は楽し過ぎましたからヤバいなぁ。
結局生きている限りは身体は楽にならないのかなぁ・・・