どちらを目指す?配達数を増やすか、単価を上げるか

200個配完でも30個の不在持ち戻りって、稼げるとは言えない

今回は軽貨物運送業を始めていく上で大事な考え方というのを検証してみましょう。
まず、なぜ軽貨物運送業を始めようと思ったか?という問いに、皆様はどう回答するでしょうか?

●どこかの正社員になるよりハードルが低そう
●SNSやユーチューバーの発信を見聞きしていると、誰でも稼げそう
自由な働き方ができそう

というような考え方で始めた人が多そうですね。
実際、軽貨物運送業という働き方は上記の考え方を実現できる可能性があります。

しかし回答例においてお気付きかと思いますが、動機の最後が「~そう」という推測形になっている点。
普通、転職する時などは動機において「~そう」という推測だけでホイホイと決めないですよね?

なぜ人手不足の世の中で軽貨物の仕事にこうも参入者が集まってくるのか?

残りの人生、誰にも束縛されずにマイペースで働きたいんだ

軽貨物ドライバーの構成内容からすると、リストラや他業種で失敗した中高年世代が取り急ぎの収入手段として選択しているのと、就活が上手くいかなかった若者やフリーターがその辺のアルバイトより収入がよく、YouTubeやフードデリバリーのような副業との絡みが容易なことで人気職のような雰囲気を醸し出している。

特にYouTubeネタとして軽貨物の仕事は番組を作りやすいのか、老若男女・ベテランから初心者まで多くのユーチューバーが発信しています。
これは上記回答例の中では「自由な働き方」ということになるのかな?
誰もが軽貨物でもYouTubeでも稼げているわけではないが、過去に経験してきた仕事や働き方の中では最も居心地が良いのかもしれません。

「俺みたいな奴でも簡単に始められるぜぇ」「今月は売上70万を超えました」「人間関係のストレスから解放されたよぉ」みたいな情報を、いろんな軽貨物系ユーチューバーが雨後のタケノコのように次々と発信するもんだから、触発されて軽貨物を始めてしまう人も少なくないのでしょう。

今日の俺様は配完250個超え。どうだ、スゲェだろぉっ!

ただねぇ、どうも気になることがあるのです。
発信者の多くが宅配での仕事を報告しているのですが、配達数自慢というか「1日200個も配完できないなら稼げねぇーよ!」みたいな上から目線的な発信が増えてきた。

人によって「稼ぎたい」基準が違うし、宅配なら200個以上配達するのが当然みたいな風潮が蔓延することに違和感を覚えるのです。
外の世界から見れば「AIにいいように働かされて配達数自慢してカッコイイと思ってるのか?」と冷めた指摘すらある。
まあ自分が納得して長時間働いて過去には手に出来なかったような報酬が入るなら外野が口をだすことではないが、それが軽貨物のサクセスストーリーと思われてしまうことに???なのです。

「数こなせば稼げる」というのは心の拠り所にはなるのですが、一方では「数こなせなければアカウント停止」みたいな常にリストラと背中合わせみたいな働き方は誰も望んでいないでしょう。
それこそリストラ経験者からすれば「せっかく腰落ち着けて働ける」と思っていたのに、結局は時間とノルマに追われる日々に逆戻りしたと気付くでしょう。

指があぁぁぁっ!でも個人事業主は労災も障害年金も無いぃ

若くて体力・気力が十分な者にとっては、働き方自体が新鮮だし長時間労働も数のノルマもゲーム感覚で消化できる。
何より自分にとって過去に得た事がない報酬が入るから、配達数が増えている間は夢中で頑張れる。
自分の能力の範囲内で仕事が出来ているうちは、AIの支配下で働かされていることはあまり気にならない。
しかしAIの期待値に自分の能力が不足する事態になってようやく「いいように働かされている」ことに気付く。
それが全国で訴訟中のAmazon宅配ドライバー達の姿。

自分が選んで働き出した軽貨物運送業。
しかしいつのまにかノルマに苦しめられ「出来なければ切る」という、相手に主導権を握られる働き方が個人事業主としてどうなのか?
前にも述べたが、それは個人作業主という全く別物の働き方にすぎない。
配達能力を誇る一部のドライバーにはどうやっても勝てないのだろうか?

理想の軽貨物の仕事や働き方、本気で探してますか?

数ではなく単価で勝負せよ!

個人事業主としては、いくら稼げると言っても配達数を競わされるような「労働者」のような働き方を目指してはいけない。
同じぐらい稼げる方法としては、単価を重視すべき。
Amazonや大手運送会社の下で働くとどうしても相手の言い値でやらされる。
いくらスキルが向上しても単価は変わらず。「稼ぎたければ数こなせ」と相手の思うつぼの奴隷労働者の世界。

そうじゃなくて単価の良い仕事なら配達数を減らしても稼ぎを減らさずに済むということを意識しましょう。
例えば大手運送会社の宅配で単価150円の仕事で1日200個配完すれば売上30,000円。10時間労働とします。
これが単価300円の仕事を見つけてくれば、1日100個の配完でも売上30,000円。5時間労働で済むみたいな。
もしくは時給換算で6,000円ぐらいの仕事でも5時間で30,000円になる。

もう一つ付け加えれば、走行距離が少なくガソリンを極力消費しない仕事が理想的。
仕事するのに集積場に1時間以上走って行かなければならないようなものは敬遠した方がよい。通勤や移動に時間をかけてはコスパに影響するし事故リスクも高まるし蓄積疲労の懸念も心配。

理想のドライバーになるヒントは街中にいっぱい転がってる

「そんな仕事どうやって見つけるんだよぉ?」という声が聞こえてきそうですけど、もうね、独立したんでしょ?事業主なんでしょ?営業ぐらいしましょうよ。
私のような取り柄のない人間でも商業貨物便の仕事の最中に営業して荷主直請け案件は取ってこれたんですから。
しかも大手運送会社の宅配単価の倍以上の金額で!

個数単価制でしたけど一か所で10~30個ほど一気に配完でき、しかも受領不要。
だから1時間もかからず数件配達するだけでも時給換算で10,000円を超えたりするし、一番稼げた時は直請け案件だけで4時間で48,000円なんてこともありました。
ドライバーを探しているような求人があったら、業務委託としてやれませんか?ぐらいの提案営業ぐらいするべきです。
軽貨物はしたいけど、時間とノルマと低単価に縛られる働き方が嫌ならね!

マイペースでストレスフリーの働き方って実はあるんですよ!

稼ぎ方のイメージが伝わりましたでしょうか?
宅配で1日200個超をこなさなければならないなんて思いこまなければ、自由度が高くそこそこ稼げる仕事・働き方は可能なんです。
1日200個だ250個だと配達自慢しているユーチューバーが何だか哀れに思えて来ましたか?
配達数でしか評価されない狭い鳥かごの中で自由に羽ばたくこともできない姿に憧れますか?
時間とノルマに日々追われて事故リスクが高く大変なだけが軽貨物ドライバーではないのです。

今度は単価自慢で勝負してやりましょうや。同じ稼ぎでもどちらが事業主らしいか。
そういう目標を持って自分らしい軽貨物の働き方を目指すのが本来の事業主ドライバーの姿だと思うのです。
配達数で競わされるのではなく、高単価で人間らしく働ける仕事を探してみましょう。
宅配地獄に陥ってしまったら営業も副業もできなくなってしまいますよ!

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